2017年7月14日金曜日

『BLUE GIANT SUPREME 2巻』音が無いのが残念だが、それがいい

最近の漫画は『わかりやすさ』を大事にしている作品が多いですよね。

サクセスストーリーならばガンガン成功し成果をあげることで読者に爽快感を味合わせてくれるような作品が好まれているように思います。

しかし紹介する漫画『BLUE GIANT SUPREME』はそんな爽快感など微塵も感じさせてくれません。
主人公は愚直に『サックス』を吹き続けるだけです。

人によっては味気ないという感想をもつ人もいるかもしれません。
でもなぜか私は、そんな彼にひかれて読み続けてしまうんですよね。

単行本の巻末には『BONUS TRACK』という短編が収録されています。
そこには主人公と出会った人の思い出話が書き綴られています。
その人たちは口をそろえて主人公を懐かしみ、主人公がどのような人物であったか語ります。
それだけを読んでも主人公がどのような人となりをしていたか知ることができます。

まだ未読の人にこの作品を紹介するならば、
「バカみたいにサックスが好きな青年が前だけを向いて歩み続ける作品だよ」と言いますね。


好きなカット
2巻のラストには『BONUS TRACK FOR WEEKLY POST』という短編がもう1つ収録されています。
そのかわり作者の雑談がカットされてますけどね(笑)

その短編の最後の一言
「こっち向いてくれないかな……」

この一言が好きです。

サックスの練習をしている主人公の背後に、なぜか足を止め聞き入ってしまう通行人たち。
皆が主人公を邪魔しないよう静かに耳を傾けています。
場所はリバーサイド。
彼の前には夕日が写りこむ川だけ。

本番ではないのに。
練習なのに。
でも人の心を掴んで離さない演奏。

そんな状況で通行人の本音
「こっちを向いて」

それってファンがアーティストのコンサートで心に思う願いですよね。

私も駅前などで演奏する人をたまに見かけますが、足を止めて聞こうと思う人には出会ったことがありませんし、ましてや『こっちを向いて』なんて心に抱いたことなど皆無です。

なので、主人公の演奏が素晴らしいんだなと間接的に表現する一言に心打たれたのです。

どの巻末かは忘れましたが、作者は作中の音楽を『読者の想像力に委ねている』っぽいことを書いていました。
それって、想像力豊かな人は主人公の演奏が物凄いパワフルに鳴り響いているだろうし、サックスの音を聞いたことのない人は、きっと縦笛ぐらいの音が鳴っているんでしょう。
これって両刃の剣ですよね……。

でも私は好きです。
だって私の脳内では主人公のサックスは世界一のプレイヤーの音なんですから!

とは言っても、私の知るサックスの音はYoutubeに投稿されている音楽ぐらいなんですけどね(笑)

2巻のネタバレ+感想
さて未読の人には何がなんだかわからない話を続けた後に2巻のネタバレです(笑)

ざっくり言うと異世界に降り立った勇者は旅の仲間を見つけるよ、というお話。

ぜんっっっぜん違いますが、まあそんな話。

異国+ソロでも自分の演奏で人の心を掴むことができると自身を付けた主人公は仲間を探すことにしました。
町にある音楽バーに通い、良い人を見つけようとしますがなかなか見つからない。
そんな時、パワフルな音色を響かせる女性ベーシストに出会うのでした。

音源もなく勧誘する主人公。
日本で仲間に勧誘されたときは音源なしで上手くいったから、それを真似したんですかね。
でもドイツでは門前払いでした。
あたりまえだ(笑)

ハンブルグまで追いかけて彼女を追う主人公。
ちょっとストーカーのようですが、やましい気持ちはないと……思うよ。
でも主人公は彼女にフラれてますからフリーです。
それに童貞です!
少しは……まさか……。

2巻のラストでは楽器屋の主人の手引きで再開する彼女と主人公。
しかし、主人公の演奏を聴き、尻込みしてしまう彼女のモノローグで終わっています。

はたして彼女は主人公の仲間になるのか!?





『BLUE GIANT SUPREME 2巻』


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