2017年7月24日月曜日

『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見 9巻』岸にとって病理は逃げ場だったのかな

2巻で細木先生が意味深げに
「今度、戸倉さんと合うよ」と言っていた理由が少し垣間見えましたね。

前からこの発言が気がかりだったのです。

ずっと病理医の増員を断っていた岸が、なぜ宮崎の移動を許可したのか。
それは『逃げ場』を求めていた彼女に同情したのか。
昔の自分と同じように……。

その理由が漫画『フラジャイル 9巻』で少しだけ浮き彫りになりました。


9巻では岸の過去話が多く掲載されています。
掲載された第33話〜36話の4本のうち、先の3本が過去話です。

第33・34話
岸が慶楼に在籍していた時に後輩だった『手嶌』が壮望会医院を尋ねてくるお話です。

ネタバレしますが、この話は天才?である岸の才能に嫉妬する後輩君のジレンマが描かれています。

激レアな病気も診断してしまう。
自分が見つけられない痕跡も難なく見抜いてしまう。
そんな岸との能力差に絶望し病理の世界から去ろうとするのです。

『手嶌』のモノローグで
彼には一生かなわない」というセリフがあります。

私はこのセリフを読んで
『医者って競争じゃないでしょ?』と思いました。
だって勝負する相手は病気であって同僚や先輩じゃないでしょ、と。

まぁ彼の気持ちも少しは理解できますよ。
光が強ければ強いほど、より一層影は濃くなりますからね。
比較してしまうと自分が劣っていると思えてくる。

何かで読んだコメントには
「人生を楽に生きるには、他人と自分を比べないこと」と書いてありました。

まさにそのとおりだなと。

でもね!
これだけはハッキリ言えることがあります。

人と比べる癖のある人に
「比べるのは無駄」とか
「比べるのはよそう」なんて言っちゃダメ!

その人たちは息をするのと同じように比較するのです。
「息を吸うのはダメ」と言っているようなものなのです。

鬱病の人に
「がんばろう」と言うのがダメな理由と同じです。

なので『手嶌』の決断(病理を去る)を私は納得しました。
それでいいのです、無理をして心を壊すぐらいなら、環境を変えるのもひとつの手段だと。

そんな壮望会医院を後にする『手嶌』に岸は
もったいな」とつぶやきました。

鬼か!!

天才?には凡才の胸中は理解できないのでしょうか。
それとも理解したうえでの彼の本音だったのでしょうか。


もうひとつ『手嶌』のモノローグで気になるセリフがあります。
そうか、もう病理しかなかったのか
これは、岸の師である中熊が、
岸は「臨床から病理に移ってきた」と聞いた回想の後に言ったセリフなのです。

私はこのセリフが理解できていません。
これは前フリだと思うので次話のレビューに移ります。

第35話
岸が慶楼医院で臨床医をしている頃の話です。
少し若いですが、生意気そうな態度と不機嫌そうな眉毛は相変わらずでした。

そしてキーマンである『比日野』先生
珍しく!岸と仲が良さそうです。
今と違い、彼のほうが病理医なのです。


そんな彼が登山でマダニに刺され発熱するところから話は始まります。

検査を重ねても原因菌の特定ができない。
岸は頼りにならない自分の指導医に愛想を尽かし、病理の重鎮である中熊を頼ります。

しかし中熊ほどの経験と知識があっても……。

冒頭に書きました『戸倉』とは『比日野』の恋人だったのです。
細木の話しぶりからすると、もしかしてこの日から岸と『戸倉』は会っていないのかもしれません。

後日、中熊は岸に
お前は診断も治療もできなかった」と告げます。

エグッてきますねぇ!
これは腹黒い中熊が岸を病理に勧誘するためのセリフだと勝手に決めつけています。

ここで前話のセリフ
そうか、もう病理しかなかったのか」を思い出すと、
患者を救うのに最も適している部署は病理だ、とも読み取れるし、
臨床での自分の無能さに逃げたとも取れるし、
性格破綻医は病理ぐらいしか貰い手がいないとも取れる(笑)

もしかすると遺族にたいして
……力、及びませんでした」と告げなくて良い病理を選んだとも?

彼の心境は彼しか理解できないのかも。
読者は想像して楽しむだけですよね……。

第36話
この話はチョット語るのが辛いですし、次巻に続くので、今回のレビューはやめときます。

まぁ、ラストカットに例の製薬会社の営業レディが
誰がワラかっ」ってメタなセリフを吐いているので、おそらく出番があるのでしょう。

まとめ
もう2度ほど読み返しました。
それでも面白かったです。
なのでココに書いたぐらいのネタバレ程度では面白さは減少しないでしょう。

この巻でも印象的なセリフが多かったですね。
8巻まではコチラで紹介していますので気になった人は読んでください。

「フラジャイル 病理医岸京一郎の所見」悪カッコいいオッサンってイイネ

それと……。

気になっているのですが岸の顔、縦に伸びてません???



2017/07/25 追記

やばい『比日野』が感染した病名が……。

マダニ感染症、猫から感染 女性死亡 「ネコからヒト」初確認

あまりにタイムリーな話題だったのでニュースを読んでちょっと驚きました。
漫画の中にあるドラマティックにするための演出的病気かと思ったら、日本初の症例ですって。

ついこの前までアリで騒動があったのに、次はダニですか……、怖いですね。





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